2019/07/02

辞書






きっかけは、父に工作用のボンドがないか聞いたことでした。



タイ語に出会ってから、約20年。
東京の語学学校に行きはじめ、当時非常に少なかったタイ語学習用の書籍の中から、初めて選び購入した辞書がこれ。


簡約タイ語辞書 -松山納著


あれから年月が経ち、世には素晴らしい辞書が他にいくつも出たけれど、やはり私にとってはこれが一番の親友。
どこに行くにも、どんな仕事をするにも、いつも一緒です。
しかし20年も年が経ち、自分も老いれば、親友も老いる。笑

とうとう、こんなになってしまいました。






それでも、まだまだ使う予定の私の辞書。

いつかどこか製本屋さんに持って行きたいと思いつつ、最近は特に使用頻度が多く、すっかりタイミングを失ってしまっていました。

そうか、自分で直せばいいんだ!


と思い立ったのが6月の帰国時。早速、ネットで修繕の仕方について調べ、実家の父(83歳)に工作用ボンドのありかを尋ねました。


* * *



しかし父が出して来てくれたのは一般に販売されているごくフツ~のボンド(糊)😅

うーん。じゃあ、ネットで修繕セットを買うかー。

・・・と、あくまで書いてある通り揃えることにこだわる私ですww

ついでに父に辞書を見せて説明をしてみると・・・



「じゃあ、父さんが直してやるから任せなさい!」の一言。



うわー!まじっすか?? ありがとうございますっ!!!

その日の夜…。

満員電車に揺られ、仕事からヘトヘトになって帰ってきた私は、食卓の上に生まれ変わった姿で置かれた親友の姿を見たのでした💕



既にウィスキーで酔っ払った父が、その日の夕食では上機嫌で何度も何度も直し方の説明をしてくれました。確かに、素人の技とは思えないほど丁寧な修繕。あんなにバラバラだった本がもうどこをめくっても、引っ掛からずにパカッと開ける。サクサクと使いやすくなっていたのです。




「このボロボロの辞書を見てな、お前の熱意を感じてな、お父さんもその熱意に応えたいと思って一生懸命やったぞ」

酔って何度も繰り返す父に、横で苦笑いをする母。

感動し、何度も色んなページをめくってみる私。

「せっかくだから、辞書の裏表紙に何か一言メッセージでも書いてよ」と父に頼んでみたけど、「そんなこと、どうでもいい」と一喝。😂


お父さん・・・ありがとう。



実際、今回の日本帰国では久しぶりに慣れない都会勤務をしていたこともあり、夕食時疲れて一言も言葉を交わせずに、食べてすぐに自室に戻った日も少なくありませんでした。何十年も一緒に暮らしていなかったから、お互いに生活のペースも全然違ってて私も自室にいる時間が多かったし、両親にも沢山心配や面倒をかけたと思う。

でも・・・。
今タイに戻り、この辞書を使う度になぜかあの、両親と共にテーブルを囲んだ日々がよみがえるのです。

タイはご飯が美味しいけれど、どこで何を食べても、やっぱりあの時家族と囲んだ料理の美味しさには適わない。素朴だけど、本当に輝かしい日々でした。

今、思うことはたった一つだけ。

がんばるよ。


年老いた父母に、ただただ感謝の気持ちしかありません。


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